鳳来牛との出会いSTORY3/4

インタビュー3

内藤
鳳来牛は、牛肉なのに脂があっさりしてて、食べ飽きない味だよ。

──
だから、モリモリ食べられるんですね。

内藤
ただ、この説明は単純化してるんよね。

──
単純化ですか?

内藤
うん。鳳来牛ってね、今のところ4農家さんが育てていらっしゃる。
その中で、最初に久保田さんと出会って、お店で取り扱うようになった。
それで久保田さんの鳳来牛が、あっさり食べ飽きない味だったの。

──
もしかして、久保田さんの鳳来牛だけが特別なんでしょうか?

内藤
そうじゃなくてね(笑)
鳳来牛はみんな、一定のおいしさがある。
そのうえで、牛肉の味って単純じゃないよ・・・ということを、今から伝えるから。

──
はい。お願いします。

内藤
まず第一に、久保田さんが育てた鳳来牛でも、1頭ごとに味はちがうの。細かく言えばね。
松阪牛でも他の牛でも、それは同じなんよ。

──
まず1頭ごとに味はちがう。

鳳来牛の定義はあるが、細かく言えば味は「1頭ごと」

鳳来牛の定義はあるが、細かく言えば味は「1頭ごと」


内藤
次に、農家さんごとに味の傾向がある。
あっさりしててモリモリ食べられるとか、コクがあってズッシリしてるとか。
牛に何を食べさせるか、どのくらいの期間で出荷するか、どんな環境で育てるか・・・。
農家さんが味をコントロールできる部分がある。

──
単純に「こっちのがうまい」じゃなくて、味の方向性ということですね。
いろいろな種類の「おいしさ」がある。

内藤
うん。さらに食べる方だってね、みんながみんな「あっさりがいい」「コクがいい」ではないでしょ?
もしも「牛肉の食べ比べ」をしてみたら、個人の好みはある。

──
ブランド牛も、細かく言えば農家さんごとに味が違うんでしょうか。

内藤
そうだね。ただブランド牛ごとに、条件があるから。
その条件をクリアすることで、味の品質を保つっていう意味はあるよ。

──
最終的に味は、よくいう「A5等級」のようなもので決められるんですか?

内藤
ぜんぜんちがう(笑)

──
あっ、ぜんぜんちがうんですね(笑)

内藤
よくある勘違いなんだけど、A5の「A」は肉の付き具合のことでね。
「5」は肉の色味や、脂の入り方を示してるだけ。

──
A5が示してるのは「肉の見た目」だけってことでしょうか。

内藤
雑に言うとそうだね。もちろん、ランク付けにはなるんよ。脂の入り方で、予想できる部分もある。
でも「コクがある」とか「こんな風味で」とか、細かいところまでは分からないっていう話。

──
内藤さんは、お客様に肉の味を伝えるとき、どんなふうに話しますか?

内藤
ああ、それ(笑)
お客さんから「なんで鳳来牛を置くの?」って、やっぱり聞かれるわけよ。
俺は営業が下手なので「うまいもん」って(笑)。
「食べてみ。うまいで」って答える。

──
味の情報「うまい」だけ!?

内藤
そんなら、俺がね「○○酸の融点が低いので、口の中で甘みがですね」とかいって。
そんな話聞いても楽しくねぇと思うの。

──
ちょっと早口で説明されたりして(笑)

みなさんも、店頭で「鳳来牛ってどんな味?」と質問してみてください。

みなさんも、店頭で「鳳来牛ってどんな味?」と質問してみてください。


内藤
そう。高性能スポーツカーなら、うんちくはええと思うのよ。
食という・・・直感を主とするものに対して、うだうだした説明はいらんとおもうの。俺は。
伝えとるのは「これは俺が選んだ牛や」と。絶対美味しいと。食べりゃええて(笑)
そうやって伝えてったの。

──
今、いい笑顔されています(笑)
そうした伝え方をしていく中で、お客様の反応はいかがでした?

内藤
嬉しかったのは、物足りんって言われたとき。

──
え、ものたりん?

内藤
鳳来牛を食べたお客さんがね。あっさりし過ぎとるって。
女性や年配のかたには好評なんだけど、ガッツリとコクのある和牛が好きな方だったのかもね。
でも、それが聞けたのが嬉しかった。味の違いがよくわかったね!と。

──
違いの分かるお客様だったんですね。

内藤
そうそう!言われたときに、あ、お客さん分かるんだなぁ・・・って。

──
うれしそうですね、内藤さん(笑)

内藤
また別のときにね、鳳来牛を食べたお客さんが「ガツンとコクがあって、まろやか」って言うわけ。
実はこの鳳来牛は、久保田さんの牛とは別の鳳来牛だったの。

──
農家さんごとの、味の方向性が・・・!

内藤
・・・ある。それぞれの「おいしさ」があるんよ。
だからまず、味は1頭ごとに違う。そして農家さんごとの方向性もある。
さらに食べる人の味覚や体調・・・趣向との相性があるでしょ。
だから、鳳来牛はおいしいよ?
おいしいから「全部の鳳来牛がこういう味だ」っていうより、美味しいから食べてみてよって(笑)

──
はい(笑)食べたくなります。
実際私は、和牛の脂がだんだん「重いなぁ」と感じるようになったので、あっさりモリモリ食べられる鳳来牛に出会ってみたいです。

内藤
そういう方は多いかもしれんね。家族に年配の方がいるとかね。
味の話、まとめにくいでしょ(笑)

──
「鳳来牛は脂があっさり、女性でもモリモリ食べられる!」みたいに言えたら、分かりやすさはありますよね(笑)

内藤
たしかに味は大事よ。安いものではないから、どんな味か知りたいのも、それはそう。
ただ最近、俺は・・・「うまい」よりも「食べてぇ」が作りたいのかもしれないなぁ。

──
食べてぇ・・・とは?

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